※基準上の置き場所は「その内容に応じた適切な表示区分」で、販管費(租税公課)は代表例です。営業利益・経常利益が小さくなるのは販管費等に表示する場合。当期純利益は原則同じですが、均等割等を製造原価に配分している場合は棚卸資産を通じた影響が生じ得ます。
これまでは「法人税・住民税・事業税…」と税金の名前を列挙して決めていたため、新しい税金(防衛特別法人税など)ができるたびに基準の改正が必要でした。今回、「もうけへの税金かどうか」という原則で判定する方式に変わり、新税にも機動的に対応できるようになりました。均等割は「会社の規模(資本金等・従業者数)で決まる定額の税金」で、もうけへの税金ではないため、置き場所が変わった――というのが今回の改正のストーリーです。
| 決算期 | 必須になるのは |
|---|---|
| 3月決算 | 2029年3月期(2028/4/1開始)から |
| 6月決算 | 2029年6月期(2028/7/1開始)から |
| 9月決算 | 2029年9月期(2028/10/1開始)から |
| 12月決算 | 2029年12月期(2029/1/1開始)から |
適用は必ず「期首から」。前期分の数字の作り直し(組替え)は不要という経過措置つきです。早期適用の開始期は詳細版の早見表へ。
最大の変更点:これまで税引前当期純利益の下に「法人税、住民税及び事業税」として表示していた税金のうち、住民税(均等割)が「法人税等」から外れ、「その内容に応じた適切な表示区分」(例:販売費及び一般管理費の租税公課)に表示されることになります。
| 税金の種類 | 従来(2026年改正前) | 改正後 |
|---|---|---|
| 法人税・地方法人税・住民税(法人税割)・事業税(所得割)・特別法人事業税(基準法人所得割) | 税引前当期純利益の次に「法人税、住民税及び事業税」 | 実質変更なし税引前当期純利益の次に「法人税等」などの適切な科目(「課税対象利益を基礎とする税金」として一括り) |
| 防衛特別法人税(新税・2026/4/1以後開始年度から課税) | 改正前基準の列挙対象外。実務対応報告第48号「防衛特別法人税の会計処理及び開示に関する当面の取扱い」(2026/2/27公表)に基づき当面の対応 | 適用対象に「課税対象利益を基礎とする税金」として改正基準の適用対象に(補足文書の表1に掲記)。本改正の適用により実務対応報告第48号は適用終了(改正基準第21-2項) |
| 住民税(均等割) ★最重要 | 「法人税、住民税及び事業税」に含めて税引前の次に表示 | 変更「法人税等」に含めない → 内容に応じた適切な表示区分(例:販管費の「租税公課」) |
| 事業税(付加価値割・資本割)=外形標準課税 | 原則として販管費(合理的配分により一部売上原価も可) | 柔軟化「原則販管費」の縛りを廃止し、その内容に応じた適切な表示区分に。基準は表示区分を限定していないため、従来どおり販管費とすることも妨げられないと考えられます(本資料の解釈) |
| 受取利息・受取配当金等に課される源泉所得税等 | 税額控除の適用を受けない税額は原則「営業外費用」(重要性が乏しい場合は「法人税、住民税及び事業税」等に含める容認あり) | 変更①控除対象で控除を選択→「法人税等」に含める ②控除を選択しない・③控除対象外→「法人税等」に含めず内容に応じた区分 |
| 外国の法令に従い納付する税金(課税対象利益を基礎としないもの) | 内容に応じ適切な科目(外国子会社からの配当に係る外国源泉税で控除不適用のものは「法人税、住民税及び事業税」等に含める) | 変更控除対象+控除選択→「法人税等」/それ以外→内容に応じた区分。ただし控除対象とならない税額のうち外国子会社配当益金不算入制度の適用を受ける配当に係る外国源泉税は「法人税等」に含める |
※表示先は「その内容に応じた適切な表示区分」であり、販管費(租税公課)は代表例。営業利益・経常利益への影響は販管費等に表示する場合。
| 項目 | 従来 | 改正後 |
|---|---|---|
| B/S:均等割・付加価値割・資本割の未納付額 | 「未払法人税等」に含めて表示 | 「未払法人税等」以外の内容に応じた科目(例:未払税金)。還付未受領額も「未収還付法人税等」以外の科目。※重要性が乏しい場合は従来どおり含めて表示できる |
| B/S:課税対象利益を基礎とする税金のうち支払期限が1年超の未納付額 | (流動負債「未払法人税等」の定めのみ) | 新設貸借対照表日の翌日から起算して1年を超えて支払期限が到来するものは、固定負債に「長期未払法人税等」などの科目で表示(改正基準第11項) |
| C/F:住民税(均等割)の納付額 | 「法人税等の支払額」に含める | 営業CFには含まれるが「法人税等の支払額」に含めてはならない(付加価値割・資本割と同じ扱いに統一) |
一言でいうと:「税金の名前を列挙する方式」をやめて「原則(定義)で決める方式」にし、新しい税金ができるたびに会計基準を改正しなくて済むようにした、という改正です。
上記6文書に加え、同日に補足文書「我が国における課税対象利益を基礎とする税金及び税効果会計における税率に関する取扱いについて」が公表されています(企業会計基準等を追加・変更するものではない参考文書)。
基準日は2つだけ覚えれば足ります。
※適用は必ず「期首から」です(期中からの適用はできません)。
| 決算期 | 早期適用できる最初の決算期 | 強制適用となる最初の決算期(この期の期首から新表示が必須) |
|---|---|---|
| 3月決算 | 2028年3月期(2027/4/1開始)から | 2029年3月期(2028/4/1〜2029/3/31) |
| 6月決算 | 2028年6月期(2027/7/1開始)から | 2029年6月期(2028/7/1〜2029/6/30) |
| 9月決算 | 2027年9月期(2026/10/1開始)から | 2029年9月期(2028/10/1〜2029/9/30) |
| 12月決算 | 2027年12月期(2027/1/1開始)から | 2029年12月期(2029/1/1〜2029/12/31) |
読み方:「期首が2028年4月1日以後に来る最初の年度」から強制適用。例えば12月決算の場合、2028/1/1開始の2028年12月期はまだ対象外で、2029/1/1開始の2029年12月期から強制適用となります。早期適用側は「期首が2026年7月7日以後」が条件のため、6月決算(期首7/1)は2026/7/1開始の期では使えず、2027/7/1開始の2028年6月期からとなります。
例:確定納付見込額1,070(うち法人税・住民税法人税割・事業税所得割等1,000、住民税均等割70)の場合。本資料独自の作例です(ASBJの設例ではありません)。
Q1. 納める税金の額は変わりますか?
A. 変わりません。今回の改正は会計上の表示の改正であり、税務(申告・納付)を変えるものではありません。(税務上の取扱いは税理士等にご確認ください)
Q2. 当期純利益は変わりますか?
A. 原則変わりません。均等割の費用が「税引前の下」から「上」へ移動するだけなので、税引前利益(販管費等に表示する場合は営業利益・経常利益も)は減りますが、最終の当期純利益は同額です。(例外:均等割等を製造原価に配分する場合は、棚卸資産の評価を通じて売上原価・当期純利益にも影響が生じ得ます)
Q3. 前期の数字も作り直しですか?
A. 不要です。経過措置により、適用初年度の比較情報の組替えは求められていません(遡及適用も強制されません)。
Q4. 税効果(繰延税金資産)の計算は変わりますか?
A. 対象となる税金の範囲は従来と同じで、計算の枠組みも変わりません。ただし防衛特別法人税の創設による実効税率の変更に伴う繰延税金資産・負債の再計算は必要です(これは2026/4/1以後開始年度からの課税に伴う対応で、本改正の適用時期とは別の論点です)。
Q5. いつから準備すればよいですか?
A. 強制適用(2028/4/1以後開始年度)の期首から新しい表示で仕訳を切れるよう、遅くともその前年度中に科目マスタ・仕訳パターン・CF集計の変更とテストを済ませるのが安全です。早期適用を検討する場合は監査人と協議のうえ前倒ししてください。