経理部門向け解説|2026年7月7日 ASBJ公表

法人税等の会計基準が改正されました ―「住民税(均等割)」がP/Lの上のほうに引っ越します―

改正企業会計基準第27号「法人税等に関する会計基準」等(企業会計基準委員会 2026年7月7日公表)/作成日:2026年9月13日(9月14日改訂)
※本資料は公表文書を要約・平易化した一般的な解説です。個別の適用は基準本文・適用指針、監査人・税理士等の専門家への確認を優先してください。

30秒でわかる:今回の改正

📦
何が変わる?
住民税(均等割)の「置き場所」が変わる。
P/Lのいちばん下の「法人税等」から、販管費(租税公課)などの上の区分へ引っ越し。
💰
払う税金は?
変わらない。
申告・納付には影響なし。変わるのはP/Lの見せ方(表示)だけ。当期純利益も原則そのまま。
📅
いつから?
2028年4月1日以後に始まる年度から必須。
3月決算なら2029年3月期から。早めの適用もOK。

図解①:P/Lの中で均等割が「引っ越し」します

従来のP/L

売上高・売上原価 など
販売費及び一般管理費
営業利益
営業外収益・費用
経常利益
税引前当期純利益
法人税、住民税及び事業税均等割もここ
当期純利益
⤴
均等割が
上へ移動

改正後のP/L

売上高・売上原価 など
販管費租税公課(均等割)※
営業利益▼変わる※
営業外収益・費用
経常利益▼変わる※
税引前当期純利益▼変わる
法人税等均等割
当期純利益=原則同じ

※基準上の置き場所は「その内容に応じた適切な表示区分」で、販管費(租税公課)は代表例です。営業利益・経常利益が小さくなるのは販管費等に表示する場合。当期純利益は原則同じですが、均等割等を製造原価に配分している場合は棚卸資産を通じた影響が生じ得ます。

経理として一番大事なこと
費用の合計額は同じでも、営業利益・経常利益・税引前利益の見た目が変わります。予算比較・役員報告・銀行提出資料を作る人に、早めに伝えておきましょう。

図解②:なぜ?→「もうけへの税金」かどうかで決めるルールに

その税金は、会社の「もうけ(課税対象利益)」に対して課される?
YES
「法人税等」として税引前利益の下に表示
法人税地方法人税住民税(法人税割)事業税(所得割)特別法人事業税防衛特別法人税(新税)
NO
「法人税等」に含めず、内容に応じた区分(販管費など)に表示
住民税(均等割)★事業税(付加価値割)事業税(資本割)
※利息・配当の源泉税や外国の税金は「税額控除を選ぶか」等で置き場所が決まる(→詳細版)

これまでは「法人税・住民税・事業税…」と税金の名前を列挙して決めていたため、新しい税金(防衛特別法人税など)ができるたびに基準の改正が必要でした。今回、「もうけへの税金かどうか」という原則で判定する方式に変わり、新税にも機動的に対応できるようになりました。均等割は「会社の規模(資本金等・従業者数)で決まる定額の税金」で、もうけへの税金ではないため、置き場所が変わった――というのが今回の改正のストーリーです。

図解③:いつから?

従来どおり
早期適用できる期間
(希望する会社だけ)
強制適用
(全社必須)
▲2026/7/7 公表日(以後に始まる年度から早期適用OK) ▲2028/4/1 以後に始まる年度から必須
決算期必須になるのは
3月決算2029年3月期(2028/4/1開始)から
6月決算2029年6月期(2028/7/1開始)から
9月決算2029年9月期(2028/10/1開始)から
12月決算2029年12月期(2029/1/1開始)から

適用は必ず「期首から」。前期分の数字の作り直し(組替え)は不要という経過措置つきです。早期適用の開始期は詳細版の早見表へ。

経理がやることは、ざっくり3つ

🗂️
① 科目を分ける
均等割の受け皿(販管費「租税公課」等)を用意し、仕訳パターンを分離。P/Lの科目名も「法人税等」などへ見直し。
🧮
② 集計を直す
B/Sの未払科目の分離(重要性次第で従来どおりも可)、C/F「法人税等の支払額」から均等割を除外。
📣
③ 社内に知らせる
段階利益の見え方が変わることを、予算・月次・役員報告の関係者へ事前アナウンス。監査人とも早めに協議。
【仕訳はこう変わる(本資料独自の作例)】 従来: 法人税、住民税及び事業税 1,070 / 未払法人税等 1,070(うち均等割70) 改正後: 法人税等 1,000 / 未払法人税等 1,000 租税公課(販管費) 70 / 未払税金※ 70 ※科目名は一例。重要性が乏しければ未払側は従来どおりでも可。

1. 結論:何がどう変わるのか(まずここだけ)

最大の変更点:これまで税引前当期純利益の下に「法人税、住民税及び事業税」として表示していた税金のうち、住民税(均等割)が「法人税等」から外れ、「その内容に応じた適切な表示区分」(例:販売費及び一般管理費の租税公課)に表示されることになります。

  • 納税額(申告・納付)は変わりません。変わるのは「P/Lのどこに・どの科目で載せるか」という表示が中心です。
  • この結果、税引前当期純利益は小さくなり、均等割を販管費等に表示する場合は営業利益・経常利益も小さくなります(均等割の分だけ費用が上に移動)。当期純利益は原則変わりません(均等割等を製造原価に配分している場合は、棚卸資産・売上原価を通じて影響が生じ得ます)。
  • 基準の名前も変わりました:「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」→「法人税等に関する会計基準」。
  • 強制適用は 2028年4月1日以後に開始する事業年度から(3月決算なら2029年3月期から)。早期適用も可能です(詳細は 3章)。

勘定科目・表示区分の新旧対照表(P/L)

税金の種類従来(2026年改正前)改正後
法人税・地方法人税・住民税(法人税割)・事業税(所得割)・特別法人事業税(基準法人所得割) 税引前当期純利益の次に「法人税、住民税及び事業税」 実質変更なし税引前当期純利益の次に「法人税等」などの適切な科目(「課税対象利益を基礎とする税金」として一括り)
防衛特別法人税(新税・2026/4/1以後開始年度から課税) 改正前基準の列挙対象外。実務対応報告第48号「防衛特別法人税の会計処理及び開示に関する当面の取扱い」(2026/2/27公表)に基づき当面の対応 適用対象に「課税対象利益を基礎とする税金」として改正基準の適用対象に(補足文書の表1に掲記)。本改正の適用により実務対応報告第48号は適用終了(改正基準第21-2項)
住民税(均等割) ★最重要 「法人税、住民税及び事業税」に含めて税引前の次に表示 変更「法人税等」に含めない → 内容に応じた適切な表示区分(例:販管費の「租税公課」)
事業税(付加価値割・資本割)=外形標準課税 原則として販管費(合理的配分により一部売上原価も可) 柔軟化「原則販管費」の縛りを廃止し、その内容に応じた適切な表示区分に。基準は表示区分を限定していないため、従来どおり販管費とすることも妨げられないと考えられます(本資料の解釈)
受取利息・受取配当金等に課される源泉所得税等 税額控除の適用を受けない税額は原則「営業外費用」(重要性が乏しい場合は「法人税、住民税及び事業税」等に含める容認あり) 変更①控除対象で控除を選択→「法人税等」に含める ②控除を選択しない・③控除対象外→「法人税等」に含めず内容に応じた区分
外国の法令に従い納付する税金(課税対象利益を基礎としないもの) 内容に応じ適切な科目(外国子会社からの配当に係る外国源泉税で控除不適用のものは「法人税、住民税及び事業税」等に含める) 変更控除対象+控除選択→「法人税等」/それ以外→内容に応じた区分。ただし控除対象とならない税額のうち外国子会社配当益金不算入制度の適用を受ける配当に係る外国源泉税は「法人税等」に含める

図解:P/L上の「引っ越し」イメージ

従来のP/L

売上高・売上原価 など
販売費及び一般管理費
営業利益
営業外収益・費用
経常利益
税引前当期純利益
法人税、住民税及び事業税均等割もここ
当期純利益
⤴
均等割が
上へ移動

改正後のP/L

売上高・売上原価 など
販管費租税公課(均等割)※
営業利益▼変わる※
営業外収益・費用
経常利益▼変わる※
税引前当期純利益▼変わる
法人税等均等割
当期純利益=原則同じ

※表示先は「その内容に応じた適切な表示区分」であり、販管費(租税公課)は代表例。営業利益・経常利益への影響は販管費等に表示する場合。

B/S・キャッシュ・フロー計算書の変更

項目従来改正後
B/S:均等割・付加価値割・資本割の未納付額 「未払法人税等」に含めて表示 「未払法人税等」以外の内容に応じた科目(例:未払税金)。還付未受領額も「未収還付法人税等」以外の科目。※重要性が乏しい場合は従来どおり含めて表示できる
B/S:課税対象利益を基礎とする税金のうち支払期限が1年超の未納付額 (流動負債「未払法人税等」の定めのみ) 新設貸借対照表日の翌日から起算して1年を超えて支払期限が到来するものは、固定負債に「長期未払法人税等」などの科目で表示(改正基準第11項)
C/F:住民税(均等割)の納付額 「法人税等の支払額」に含める 営業CFには含まれるが「法人税等の支払額」に含めてはならない(付加価値割・資本割と同じ扱いに統一)
税効果会計への影響:対象となる税金の範囲に変更はありません(改正税効果適用指針第91項が「税効果会計の対象となる税金に関して変更を意図するものではない」と明記)。法定実効税率の定義が汎用的な文言に変わり、具体的な算式・設例は同日公表の「補足文書」(第9項、算定例は別紙1)に移りました。補足文書の実効税率算式は防衛特別法人税を織り込んだ形に整理されています(別紙1の算定例では税率4.0%。なお課税標準計算上の基礎控除500万円は算式では考慮されていません)。
※防衛特別法人税そのものは2026年4月1日以後開始事業年度から課税されるため、実効税率・税効果への反映は本改正の適用を待たず、2025年2月の補足文書(税効果)・実務対応報告第48号(当期税金の処理・開示)に基づきすでに対応が必要な論点です(本改正の適用時期とは別問題)。

2. なぜ変わったのか(背景と理由)

一言でいうと:「税金の名前を列挙する方式」をやめて「原則(定義)で決める方式」にし、新しい税金ができるたびに会計基準を改正しなくて済むようにした、という改正です。

  • 従来の基準は「法人税・地方法人税・住民税・事業税・特別法人事業税」と具体的な税金を列挙して適用対象を決めていました。そのため、新しい税金が創設されるたびに基準そのものを改正する必要がありました。
  • 直接のきっかけは防衛特別法人税の創設(令和7年度税制改正、2026年4月1日以後開始事業年度から課税)。税制改正から適用開始までの短い期間で基準改正を行うのは無理があるため、ASBJは2025年2月20日の補足文書(税効果会計の取扱いのみを整理した暫定対応)、さらに2026年2月27日の実務対応報告第48号「防衛特別法人税の会計処理及び開示に関する当面の取扱い」で当面の対応をしていました。本改正の適用により実務対応報告第48号は適用終了となります(改正基準第21-2項)。
  • 改正後は「課税対象利益を基礎とする税金」(=課税当局の定めに従って算定された事業年度の利益に対して課される税金とその付加税。国際的な会計基準における法人所得税の定義等を参考)という原則的な定義で対象を判定します。どの税金が該当するか・実効税率の算式といった個別具体的な内容は「補足文書」に移し、今後の税制改正には基準改正なしで補足文書の変更だけで機動的に対応する体制になりました。
  • 均等割などの表示が変わるのはこの定義の帰結です。均等割は資本金等の額や従業者数に応じた定額課税で「利益を基礎とする税金」ではないため、「利益に対する税金」(法人税等)とは性質が違うものとして区分されることになりました。外形標準課税(付加価値割・資本割)や源泉所得税も同じ理屈で整理されています。
改正後の判定ルール:その税金は「課税対象利益(もうけ)」に対して課される?
YES=課税対象利益を基礎とする税金
「法人税等」(税引前利益の下)
法人税地方法人税住民税(法人税割)事業税(所得割)特別法人事業税(基準法人所得割)防衛特別法人税
該当する税金の一覧は補足文書の表1に掲記
NO=該当しない税金
「法人税等」に含めず、その内容に応じた適切な表示区分
住民税(均等割)事業税(付加価値割)事業税(資本割)
源泉所得税等・外国税金は税額控除の選択等により表示先が決まる(対照表参照)

経緯タイムライン

  • 2024年年次改善プロジェクトの審議で「列挙方式の見直し」の意見
  • 2024年11月公開草案の公表時にコメント募集 → 見直しを概ね支持
  • 2025年2月20日防衛特別法人税につき補足文書を公表(税効果会計の取扱いのみの暫定対応)
  • 2025年3月企業会計基準諮問会議が「法人税等会計基準等の見直し」を提言(第543回委員会)
  • 2025年5月審議開始
  • 2026年1月9日公開草案の公表・コメント募集
  • 2026年2月27日実務対応報告第48号「防衛特別法人税の会計処理及び開示に関する当面の取扱い」を公表(2026/4/1以後開始年度から適用)
  • 2026年7月7日改正基準等6文書+補足文書を公表(6月29日の第580回委員会で承認)
公表された文書一覧(クリックで展開)
  1. 改正企業会計基準第27号「法人税等に関する会計基準」
  2. 改正企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」
  3. 改正実務対応報告第42号「グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い」
  4. 改正移管指針第6号「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針」
  5. 企業会計基準第43号「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正(その3)」
  6. 企業会計基準第44号「『連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準』の一部改正(その4)」

上記6文書に加え、同日に補足文書「我が国における課税対象利益を基礎とする税金及び税効果会計における税率に関する取扱いについて」が公表されています(企業会計基準等を追加・変更するものではない参考文書)。

3. いつから適用か(決算期別早見表)

基準日は2つだけ覚えれば足ります。

従来どおり
早期適用できる期間(任意)
強制適用(全社必須)
▲2026/7/7 公表日以後に開始する年度の期首から早期適用可 ▲2028/4/1 以後に開始する年度の期首から強制適用
  • 強制適用2028年4月1日以後に開始する連結会計年度・事業年度の期首から
  • 早期適用公表日(2026年7月7日)以後に開始する連結会計年度・事業年度の期首から選択可能

※適用は必ず「期首から」です(期中からの適用はできません)。

決算期早期適用できる最初の決算期強制適用となる最初の決算期(この期の期首から新表示が必須)
3月決算2028年3月期(2027/4/1開始)から2029年3月期(2028/4/1〜2029/3/31)
6月決算2028年6月期(2027/7/1開始)から2029年6月期(2028/7/1〜2029/6/30)
9月決算2027年9月期(2026/10/1開始)から2029年9月期(2028/10/1〜2029/9/30)
12月決算2027年12月期(2027/1/1開始)から2029年12月期(2029/1/1〜2029/12/31)

読み方:「期首が2028年4月1日以後に来る最初の年度」から強制適用。例えば12月決算の場合、2028/1/1開始の2028年12月期はまだ対象外で、2029/1/1開始の2029年12月期から強制適用となります。早期適用側は「期首が2026年7月7日以後」が条件のため、6月決算(期首7/1)は2026/7/1開始の期では使えず、2027/7/1開始の2028年6月期からとなります。

経過措置(適用初年度のラクになるポイント)

  • 原則は新しい方針の遡及適用ですが、過去に遡らず、適用初年度の期首利益剰余金で累積的影響額を調整する方法が認められています。
  • 適用初年度の比較情報(前期のP/L等)の組替えも不要です(新表示への並べ替えをしなくてよい)。
  • 改正基準の結論の背景(第48項)でも、重要性に照らした検討を行えば多くの場合に遡及適用を行わない結論に至ると想定される旨が述べられており、実務負担へ配慮された設計です。
  • なお、本改正の適用により、防衛特別法人税に関する実務対応報告第48号の適用は終了します(改正基準第21-2項)。

4. 経理システム・仕訳はこう変える(実務対応)

対応の考え方
税額計算や納付手続は一切変わりません。変えるのは①勘定科目マスタ、②仕訳パターン(中間納付・決算整理)、③帳票・CF集計ロジック、④税効果の実効税率算式の4点です。

システム対応チェックリスト

  1. P/L表示科目名の見直し:「法人税、住民税及び事業税」→「法人税等」などの適切な科目へ(基準上「法人税等」は例示であり名称は強制ではありません)。改正後は均等割が含まれなくなるため、従来の科目名のままだと名称と中身が合わなくなります。
  2. 均等割の受け皿科目を用意:販管費「租税公課」の利用、または専用科目・補助科目の新設。中間納付時の仕訳パターンも同様に分離(従来「仮払法人税等」等に一本で計上していた場合は均等割分の区分を検討)。
  3. B/S科目の分離:未払法人税等の内訳から均等割(外形標準課税の付加価値割・資本割を含む)を分離し「未払税金」等へ。重要性が乏しければ従来どおりも可 → どちらにするかは監査人と早めに協議。あわせて、支払期限が1年超の税金は固定負債「長期未払法人税等」等に区分する定めが新設された点(改正基準第11項)も確認。
  4. C/F計算書の集計ロジック修正:「法人税等の支払額」の集計から均等割の納付額を除外(会計システムの科目マッピング・CFワークシートのタグ付け変更)。
  5. 税効果計算シートの確認:実効税率の算式は補足文書第9項(算定例は別紙1)を参照。対象税金の範囲は変わりませんが、防衛特別法人税による税率変更に伴う繰延税金資産・負債の再計算は必要です。なお防衛特別法人税は2026/4/1以後開始年度から課税されるため、この対応は本改正の適用を待たず、2025年2月の補足文書(税効果)・実務対応報告第48号(当期税金の処理・開示)に基づきすでに必要です(時期の異なる論点)。
  6. 源泉所得税・外国税金の表示方針の決定:受取利息・配当の源泉税は「税額控除を選択するか」で表示先が変わるため、税務ポジションを確認して科目マッピングを決定。
  7. 予算・月次報告への周知:税引前利益は従来比で小さくなり、均等割を販管費等に表示する場合は営業利益・経常利益も小さくなります(当期純利益は原則不変)。研究員解説も「影響の重要性は企業により様々だが、すべての企業に何らかの影響がある」旨を述べています。予実比較・部門損益・役員報告・銀行提出資料の前提変更を関係者へ事前アナウンス。
  8. 適用初年度の注記準備:会計方針の変更に関する注記が必要。比較情報の組替えは不要(経過措置)。

仕訳イメージ(決算整理:未払税金の計上)

例:確定納付見込額1,070(うち法人税・住民税法人税割・事業税所得割等1,000、住民税均等割70)の場合。本資料独自の作例です(ASBJの設例ではありません)。

【従来】 法人税、住民税及び事業税 1,070 / 未払法人税等 1,070 (均等割70も一本で「法人税等」区分に計上) 【改正後】 法人税等 1,000 / 未払法人税等 1,000 租税公課(販管費) 70 / 未払税金※ 70 (均等割は販管費等へ。B/S側も未払法人税等から分離) ※未払額の重要性が乏しい場合は、従来どおり未払法人税等に 含めて表示することもできます(P/L側の区分変更は必要)。 ※「租税公課」「未払税金」は科目の一例です。 ※均等割を未払法人税等から外すと、会計上の未払計上額と 法人税申告書別表五(二)の納税充当金の範囲がずれる場合が あるため、税務担当・税理士と整理しておくと安全です。
影響が小さい会社:外形標準課税の対象外(資本金1億円以下等)で外国税金や大きな源泉税がない会社は、実質的な対応は「均等割の科目付け替え(+科目名変更)」にほぼ集約されます。それでも段階利益(営業利益・経常利益)は変わるため、周知だけは必須です。

5. よくある質問

Q1. 納める税金の額は変わりますか?
A. 変わりません。今回の改正は会計上の表示の改正であり、税務(申告・納付)を変えるものではありません。(税務上の取扱いは税理士等にご確認ください)

Q2. 当期純利益は変わりますか?
A. 原則変わりません。均等割の費用が「税引前の下」から「上」へ移動するだけなので、税引前利益(販管費等に表示する場合は営業利益・経常利益も)は減りますが、最終の当期純利益は同額です。(例外:均等割等を製造原価に配分する場合は、棚卸資産の評価を通じて売上原価・当期純利益にも影響が生じ得ます)

Q3. 前期の数字も作り直しですか?
A. 不要です。経過措置により、適用初年度の比較情報の組替えは求められていません(遡及適用も強制されません)。

Q4. 税効果(繰延税金資産)の計算は変わりますか?
A. 対象となる税金の範囲は従来と同じで、計算の枠組みも変わりません。ただし防衛特別法人税の創設による実効税率の変更に伴う繰延税金資産・負債の再計算は必要です(これは2026/4/1以後開始年度からの課税に伴う対応で、本改正の適用時期とは別の論点です)。

Q5. いつから準備すればよいですか?
A. 強制適用(2028/4/1以後開始年度)の期首から新しい表示で仕訳を切れるよう、遅くともその前年度中に科目マスタ・仕訳パターン・CF集計の変更とテストを済ませるのが安全です。早期適用を検討する場合は監査人と協議のうえ前倒ししてください。